銀の安全性

銀は人体に安全性が高い物質です


銀は古代では食器、はしなどに使われ、医現代では尿道殺菌剤、鼻用剤、点眼剤などに使用されています。 経口用としては腸内の殺菌剤としてされており、銀コロイドは静脈内投与で抗感染薬として利用されています。 銀化合物は、何世紀も以前から種々の疾病を治療する目的で医療に用いられてきましたが、通常の臨床実践では毒性を示す証拠は殆ど見られず、発癌性もないとされています。

銀化合物や銀を含む薬剤を治療によって使用した時に銀沈着症が生じるケースがありますが、2年から3年の間に、30から40回の静脈注射で 銀を0.9gから1.5gを投与した場合でも銀沈着症の発生は少数でした。 また、銀沈着症は皮膚が灰青色になりますが、その他の健康傷害とは関連しないと考えられています。

銀イオンによる抗菌の歴史及び水処理への応用

銀の溶液は非常に薄い濃度(0.01mg/l=0.01ppm)でも、水中の微生物を不活性化する作用があります。 今から100年程前(1893年)にスイスのナジェリーが、 金属イオンが極微量で藻類を殺滅する作用がある事を発見し、 1932年頃には極微量の金属イオンが、生物の細胞に作用するものである事が確かめられました。 1933年にドイツのクラウスが、銀イオンを飲用水に応用する装置を考案しており、 日本でも戦前に金属イオンの研究が行われ、東京帝国大学医学部において、 「微生物に及ぼす金属及び金属イオンの影響に関する研究」と題した論文が発表されています。

1952年にアメリカ・アトランタ市で米国化学会「水・排水・衛生化学」分科会が開かれ、 その時「銀による水の消毒」についての論文が発表されています。以上のように銀イオンの水処理への応用は古くから行われており、銀イオンが安全性の高い物質であることが分かります。

金属イオンは全て有害か?

細菌をやっつけてしまうようなモノなら、人体にも悪い影響はないのかと心配するのはもっともだと思いますが、銀は抗菌剤だけではなく、食品添加物としても認められている安全な物質です。具体例としては、デコレーションケーキなどに使われている銀色の粒アラザンや、昔ながらの清涼剤である仁丹の表面の銀色には、銀(Ag)が使われています。

また、浄水器を取り付ける家庭が多くなっていますが、内部の抗菌には銀が使われることも多く(浄水器に抗菌機能がないと浄水器内部で雑菌が繁殖してしまいます)ヨーロッパでは直接飲料水の殺菌にもつかわれています。飲料用水に含まれうる金属イオンで有害性を認めらるものについては、日本の水道法の水質基準によって指標値が決められていますが、銀に関しては指標値がありません。カナダでは当初0.05mg/lの規制値がありましたが1989年の飲料水品質用のガイドラインから銀は削除されました。

米国環境保護局(USEPA)の飲料水規則でもPrimary standard(NPDWRs 水道水で守らなくてはいけない基準)では銀は規定されず、Secondary standard(NSDWRs 必ずしも守っていなくてもいい推奨基準)のほうで0.1mg/lの規制値があるのみです。世界保健機構(WHO)によっても、銀化合物による発癌性、急性暴露、慢性暴露による人体への影響はなく、0.1mg/lの銀の含まれた水2lを毎日70年間飲用しても害はないとされています。(毎日2リットル0.1mg/lの銀の含まれた水を70年間飲んだとしてNOAEL(害にならない最大量)の半分)

<参考>USEPAサイトhttps://www.epa.gov/OST/pc/drinking.html