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植込型心臓ペースメーカ

心臓は微弱な電気が流れて動きます。なんらかの原因でこの微弱な電気の流れが止まってしまったり、電気が流れる回数が減ってしまったりします。例えば、60回/分で動いていたのが、30回/分しか動かなくなったりします。そうなりますと、血の流れが悪くなり、少し歩いただけで失神してしまったりします。植込型心臓ペースメーカ(以下ペースメーカと呼ぶ)は、動きづらくなった心臓の代わりに微弱な電気を流し、心臓の動きを補います。また、ペースメーカは心臓が動いている時には、その時に流れる電気を感知して止まるようにできています。

電磁波によるペースメーカ・ICDの不適切作動

電磁波は空間に伝わる電気エネルギーの波です。この電気エネルギーの波が、空気より電気の流れやすい金属などに当たりますと金属の中を電気が流れます。アンテナはこの原理を利用して機器に電気信号を送っています。ペースメーカ・ICDにつながれているリード線は電気が流れやすい金属(プラチナ合金など)でできており、アンテナのように電磁波を受けると電気が流れます。リード線以外に、ペースメーカ・ICD本体内にプログラム通信用のアンテナがあり、そのアンテナに電磁波(無線電波等)が直接受信される場合があります。この電気がペースメーカ・ICDにとって雑音となります。この雑音によってペースメーカ・ICDが不適切な動作をしてしまう事を、ペースメーカ・ICDの不適切作動と呼びます。

心臓ペースメーカ・ICDに影響を与える電磁波とは

ペースメーカ・ICDに影響を与える電磁波は、大きく分けて「交流磁界」と「無線電波」の2つがあります。

▼「交流磁界」による影響

ペースメーカ・ICD内部には外部との通信用にテレメトリコイルがあり、そこに交流磁界入射されると電圧が誘起されペースメーカ・ICDが不適切作動をする場合があります。また、ペースメーカ・ICD本体から出ているリードが体内で1回巻きのコイルを形成しており、このコイル面(輪の中)に交流磁界入射されると電圧が誘起されペースメーカ・ICDが不適切作動をする場合があります。ノイズ発生源として電磁調理器、盗難防止装置、電気溶接機、自動車のセルモーター、電気溶鉱炉などがあります。

▼「交流磁界」による影響

外部から高周波の無線電波が入射すると、交流磁界の場合と同様にテレメトリコイルやリードが作るコイルに電圧が誘起されペースメーカ・ICDが不適切作動をする場合があります。ノイズ発生源として携帯電話、無線機、各種通信機器、放送局、マイクロ波温熱治療器などがあります。

電磁波以外にペースメーカ・ICDに与える影響

電磁波以外にペースメーカ・ICDに影響を与えるものとして「静磁界」、「伝導電流」「交流電界」、の3つがあります。

▼「静磁界」による影響

ペースメーカ(ICDは除く)は、検査のために外部から2mmテスラの静磁界を加える(磁石を近づける)と検査用の固定レートで動作するように作られています。このため、検査以外に2mmテスラを超える静磁界にさらされると検査用の固定レートで動作してしまいます。静磁界の発生源として磁石以外に超伝導磁気浮上式リニアモーターカーや核磁気共鳴装置などがあります。

▼「伝導電流」による影響

俗に言う感電による影響です。漏電した電気製品に触れ、体に感じない程度の40μAの弱い電流が人体に流れるだけでペースメーカ・ICDが不適切作動する場合があります。導電電流の発生源として漏電している電気製品以外に体脂肪計、低周波治療器、電気刺激装置、電気メスのどの医療器具を使った場合などがあります。

▼「交流電界」による影響

人体が5kV/m以上の強力な電界にさらされた場合に、体内に生じる電位差によって電圧が誘起されペースメーカ・ICDが不適切作動をおこす場合があります。これは、高圧送電線にきわめて接近した場合などに当たりますが、一般に、地上では5kV/m以上の電界にさらされることはありません。「静磁界」、「伝導電流」、「交流電界」、の3つについては、発生源を確認できるため注意をして避けることが可能です。問題となるのはペースメーカ・ICDの構造上十分に遮蔽できない、強度の大きな「交流磁界」と「無線電波」です。これらを防護できる製品が必要といえます。

盗難防止装置の仕組(ペースメーカの不適切作動の原因)

リード線が作るループ面に交流磁界が錯交すると電圧が誘起され、ペースメーカ・ICD回路内部に電圧が誘起され、ペースメーカ・ICDの誤動作に原因となります。ゲート送信側に向かって平行になったときの最も強い磁界の影響を受けます。

リード線がゲート送信側に向かって垂直になった場合強い交流磁界はほとんど錯交しないので電圧はほとんど誘起されません。しかし交流磁界は多方向に流れるものがありますので、リード線が作るループ面に回り込んだ交流磁界が錯交し電圧が誘起されます。結果として、体の前後に防磁パッドを使用することで影響は小さくなります。

電磁波防止と電磁波防護

電磁波によるペースメーカ・ICDの不適切作動は、電磁波を防止すれば生じなくなります。では、電磁波を防止する素材を衣服に用いればよいのですが、電磁波には回り込むという性質があります。電磁波が回り込んでしまえば、ペースメーカ・ICDの不適切作動を引き起こす原因となります。当社では電磁波を防止する素材を衣服に用いて終わりにするのではなく、衣服を人体ファントムに着用させ、実際にペースメーカ・ICDの不適切作動を抑止する効果があるかを試験しています。このペースメーカ・ICDの不適切作動を抑止することを当社では電磁波防護と呼んでいます。

AED(自動体外式除細動器)

心臓突然死の大半は、心室細動と呼ばれる症状が起こります。心室細動は心臓が小さくブルブルと震えるような動きをすることです。心臓における電気の流れが乱れてしまうことが原因です。この状態では心臓はポンプとしての役割を果たすことができなくなり、血が流れなくなり、短時間で死にいたります。心室細動の治療には、除細動という強力な電気ショックを流し、心臓内の電流の乱れをなくすという処置がとられます。AED(自動体外式除細動器)は短時間で処置しなければ人命に関わるため、空港など公共機関に設置されだしています。

ICD(植込型除細動器)

ICD(植込型除細動器)は心室細動の可能性がある患者に対し、いつ心室細動が起きても除細動できるように強力な電気ショックを体内で流す、植込型の医療機器です。ペースメーカとほぼ構造は同じです。ペースメーカと同様に電磁波による雑音に影響され、不要除細動ショックが生じる恐れがあります。

医療機器

薬事法より指定されている医療機器は、「疾病の診断・治療・予防」または「身体の構造や機能に影響を及ぼすこと」を目的とする器具器械のことを言います。このことからペースメーカは医療用具に当たります。また、通常は「医療用具」に該当しないとされているものであっても、使用目的や広告・表示内容から、「医療用具」として規制される場合があります。

<使用目的から医療用具に該当する例>

例1 はさみ

紙などを切るための工作用の「はさみ」であれば医療用具ではありませんが、手術時に組織の切開等に用いる医療用の「はさみ」であれば医療用具となります。

例2 低周波治療器

筋肉トレーニングを目的として使用する「低周波治療器」であれば医療用具ではありませんが、治療を目的として使用する「低周波治療器」であれば医療用具となります。

福祉用具

福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律第2条に「福祉用具とは、心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人または心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具を言う。」と規定されています。平成12年に施行された「介護法」では、「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障がある要介護者等の日常生活上の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、要介護者等の日常生活の自立を助けるためのものをいう。」としています。

ペースメーカ装着者用電磁波防護服は障害者の日常生活の制限をなくすための用具ですので福祉用具に当たります。福祉用具はその用途に応じた呼び名として補装具、自助具、日常生活用具、介護用具、機能訓練用具などがあります。

補装具

補装具とは、次の3つの定義を全て満たすものとされています。

  • 身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完、代替するもので、障害個別に対応して設計・加工されたもの。
  • 身体に装着(装用)して日常生活又は修学・就労に用いるもので、同一製品を継続して使用するもの。
  • 給付に際して専門的な知見(医師の判定書又は意見書)を要するもの。

補装具の種目として盲人安全つえ、義眼、眼鏡、点字器、補聴器、人工喉頭、義手、義足、座位保持装置、車いす、歩行器、収尿器、歩行補助つえ、電動車いす、頭部保護帽、ストマ用装具などがあります。

自助具

自助具は身近な道具であり、生活を広げる小さな福祉用具です。例えば、「箸がうまく扱えない」「片手が不自由で爪が切れない」という時に、工夫された箸や爪きりを使うことで自分でご飯を食べたり、爪を切ることが出来るようになります。このように、障害や高齢により日常生活動に困難があるときに、それを助ける道具を自助具といいます。

日常生活用具

日常生活用具とは、次の3つの定義を全て満たすものとされています。

  • 安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるもの。※「安全活用医に使用できるもの」とは、選定や使用に当たって障害者自身や市町村職員等で判断ができるものをいう。
  • 日常生活上の困難を改善し、自立を支援し社会参加を促進するもの。※「日常生活の困難」とは、日常生活のために行う基本的な毎日のようにくり返される活動上の困難をいう。
  • 制作や改良、開発に当たって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活品として一般的に普及していないもの。※「日常生活品として一般的に普及していないもの」とは、一般市場では入手が困難であり、主に当該障害を有する人のために使うものをいう

日常生活用具は重度の身体障害者・知的障害者が対象者となります。ペースメーカ装着者は3級以上の障害等級となり、重度身体障害者の範疇に入ります。この日常生活用具の多くは行政により給付もしくは貸与品目になっており、補助金や介護保険の対象となっております。

しかしながらペースメーカ装着者用電磁波防護服は一部の市区町村をのぞいて、現時点では補助金や介護保険の対象となっておりません。※三重県四日市市はペースメーカ用電磁波防護服に対して「四日市市身体障害者福祉機器等購入費補助金交付制度」があり、20,000円の購入補助金が支給されています。※東京都墨田区と港区では「日常生活用具の給付」制度により、20,000円までの購入補助(現金給付ではありません)を受けることが出来ます。

機能訓練用具

体の不自由な方々の日常生活や社会生活に必要な各種動作を訓練するために用いる用具のことを言います。運動訓練器具(平行棒など)、脊椎牽引療法用具(各種ぶら下がり機器など)、排泄訓練用具(失禁感知装置など)、発声・発語訓練器などがあります。