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ESA ポスター:日本語版(Japanese)
英語版(English)
IH調理器のSCSに対する影響および
SCS使用患者に対する防護服の効果
久米容子*、五十嵐寛*、松本元一 †松井英樹 ¶、佐藤重仁 *
*浜松医科大学麻酔科蘇生科、†大阪府立産業技術総合研究所、
¶メディカル・エイド(株)
 背景
脊髄刺激装置(Spinal cord stimulation system ;SCS)は慢性疼痛患者の治療に広く使用されている。 一方、近年IH調理器のような強い磁場を発する電気製品も広く使用されている。 ペースメーカに対して電気製品が与える影響についての報告は数多くなされてきたが、 SCSについての報告はまだない。今回我々は、IH調理器がSCSに与える影響について調査したので、報告する。
 
 症例
59歳、女性。48歳で血管攣縮性狭心症を発症し、53歳時にSCSによる治療を導入した。 59歳時にIH調理器を購入したが、使用のたびに頚部や背部に耐えがたい不快感を訴えた。 その不快感は調理器から2メートル離れると消失するという。
 
 材料と方法
IH調理器がSCSに与える影響を評価するために、以下の2つの実験を行った。

実験1
IH調理器がSCSに与える影響、および、防護服の効果を、人体ファントムとオシロスコープを用いて評価した。
人体ファントムは樹脂で作成した人体型の中空容器に0.18%の食塩水を満たしたもので、 人体の電気抵抗を模倣したモデルを用いた(イルニッヒモデル)(図1)。 SCSは、実際患者の体に配置した位置と同様に、人体ファントム中に配置した。 IH調理器を1350Wの出力とし、防護服を着せた人体ファントムに近づけ、 SCSに生じる電圧を測定した。人体ファントムに防護服を着せない状態で、同様の実験を行った(図2)。 実験1では、日本で流通しているペースメーカ用の防護服を用いた。
図1: 人体ファントム 図2:IH調理器を人体ファントム中のSCSに接近させ、オシロスコープ上に出現する波を観察した。
A: 防護服なしの状態 B: 防護服をつけた状態
実験 2
本実験は病院の倫理委員会の承認および患者からの同意書を得た後に施行した。 患者は、 (1) 日本で流通しているペースメーカ用の防護服 、 (2)(3) 改良型の防護服 (図3 )の3種類の防護服を使用した。 患者に前向き直立、前向き前屈、後ろ向き直立の三種類の姿勢をとらせて(図4−A、B、C)、 IH調理器の出力を最大の1530Wにセットし実験を行った。 実験時間は10分あるいは、患者に症状が出現した時点で終了とした。
   
図3 防護服
A: ペースメーカ用の防護服、 B: 改良型防護服(一枚の長いシールドで胸、左肩、背部を覆ったもの) C: 改良型防護服(2枚のシールドを使用。一枚は胸を覆い、もう一枚は背部左側を覆っている)
〇: SCSのジェネレーターの位置,
: シールドの位置.
 
図4: 患者の姿勢、A:前向き直立、 B: 前向き前屈、C: 後ろ向き直立
 
 結果1
IH調理器を人体ファントム中のSCSに近づけると、オシロスコープ上にノイズ様の小波が出現した。 スケールを変えて詳細を検索したところ、 この波は大きな波上に様々な周波数の小波が重なりできたものであった。 大きな波の周波数は60Hzであり、この地域の交流電流の周波数に一致していた。 防護服で人体ファントム中のSCSを覆ったところ、オシロスコープ上の波は消失した。
 
 結果2

患者の姿勢 直立前向き 前かがみ前向き
直立後ろ向き

(1) ペースメーカ用
  防護服
2.5分で症状出現.* 30秒で症状出現.* 効果なし
2) 改良型防護服
( 1枚の長いシールド)
3分で症状出現** 1分で症状出現.** 1分で症状出現**
(3) 改良型防護服
( 2枚のシールド)
10分間症状出現せず*** 10分間症状出現せず*** 10分間症状出現せず***


図1: SCS使用患者におけるIH調理器に対する防護服の効果
*: 胸部不快感、**: 左肩の圧迫感、***: 症状なし

 考察
実験1では、IH調理器の影響によってSCSシステムに電流が生じるが、 SCSの誤作動は生じないことが確認された。そのため、患者の不快感の原因は、 IH調理器から発生する強力な磁場により電磁誘導で電流が生じ、 患者の脊髄を刺激するためであると推測された。 我々はこの現象を防ぐためには、SCSシステムのリード線が形成するコイル部分を シールドで覆う必要があると考えた(図5)。 実験2では、ペースメーカ用防護服の効果は不十分であった。
図 5:患者の胸部単純写真。 破線四角で囲まれた部分でリード線がコイルを形成している。
そこでシールドをコイルを形成するSCSシステムのリード部分を覆うように、 患者の胸、左肩、背部を覆う長いものに改良した。 この防護服でも、十分な効果を得ることができなかったが、 これは長い1枚のシールドでは十分な磁場の遮断が得られず、 患者の背部にむかって磁場誘導がおこったためであると考えられた。 我々は再び防護服に改良を加え、シールドを2枚に分けた。 この防護服では、患者はいかなる症状も訴えなかった。 今後、さらに症例を重ね、この防護服の効果について検討を加える予定である。
 
 結論
IH調理器はSCS本体ではなく、コイル状に巻かれたSCSシステムのリード線に電磁的影響を与えていた。 適切な防護服を着用することによってこの影響は遮断され、患者の不快感を防ぎ、患者の安全を確保することができた
 
 References
1) Irnich, W.: Interference in pacemakers. Pacing Clin Electrophysiol. 1984 Nov;7(6 Pt 1):1021-48
 
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