IH調理器各種試験

MGベストのIHクッキングヒーター(IH電磁調理器)に対するPM誤動作防止効果

目的 方法 結果 考察 結論

目的

本実験では、IHクッキングヒーターから発せられる電磁波によるPMの誤動作を、MGベストが防止できるか試験評価した。

方法

人体型ファントムPMを設置した。鍋の中をのぞきこみ、漏洩電磁波が最大となる場面を模擬するため、図1のようにIHクッキングヒーターを45度傾けた状態で、人体型ファントムを正対させた。リード線が描く弧の中心とIHクッキングヒーターのトッププレートの外周円との最短距離を測定し、IHクッキングヒーターが人体型ファントムにどの程度まで近づくと誤動作が発生するか調査した。(誤動作の判定方法)

IHクッキングヒーターは、94年製造の卓上型を用いた。最大消費電力は1350Wであり、出力設定は加熱で強とした。

図1 試験配置

安全装置として、磁性体の鍋を中心にかぶさるように置かないと作動しないようになっている。鍋をトッププレートの中心に置いた場合と、人体ファントムから遠ざかる方向に、鍋が作動する限界までずらして置いた場合とで、オシロスコープで漏洩電磁界強度を測定したところ、ずらした場合の方が漏洩電磁界強度が高かったので、ずらして試験した。また、鍋は大きくなればなるほど、IHクッキングヒーターの出力が増大する傾向がみられた。そこでトッププレートとほぼ同一である直径22cmの鍋を使用した。また人体型ファントムのPM本体付近にプローブを置き、オシロスコープに接続して、漏洩電磁波の周波数を測定した。

結果

試験の結果、PMは20機種中、8機種に不適切作動がみられた。結果を表1に示す。

PMサンプル番号 1 2 3 4 5 6 7 8
防護服なし 17.5 17.5 17.5 15.0 15.0 15.0 20.0 20.0
MGベスト着用 - - - - - - - -

(単位: cm)

(-は測定限界10cmの距離で不適切作動が生じなかったことをあらわす)

考察

リード線は本体中心で二重巻いており、かつ単極リードを使用し、感度を最高、不応期を最短としているので、人体型ファントムは実際より誤動作が起きやすい試験条件となっている。また、IHクッキングヒーターを45度傾けたり、鍋を限界までずらしたり、加熱強度を強としているので、IHクッキングヒーターを使用してPMにとって一番危険である試験条件となっている。実際にこのような場面が生じることは稀であると考えられるが、防護服の試験としては適していると考えられる。

結論

MGベストはIHクッキングヒーターから漏洩する電磁波を遮蔽し、PMの不適切作動を防止する効果がある。

上記をベースにした臨床試験を実施し、2005年9月3日に第14回近畿ペースメーカ臨床懇話会にて研究発表をいたしました。 発表内容

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